会社を経営するモノとしての目線でモノゴトを見ると、色々なことが見えてくる。
こんな記事があったので載せてみようと思います。
ゼロスポーツ本社1階のショップと受付
ゼロスポーツ自己破産のニュースは、TVニュースで知った。
中島社長とは、起業家支援のイベント等で、何回かご一緒させていただいたが、典型的な肥満体型中小企業親父風の私と違って、今どきのベンチャー企業のカッコイイ社長さんであった。
元はクルマ好きのオニィちゃんだったのだろうが、電気自動車を自分たちの手で作るという志を掲げ、そのルックスも手伝って、若い人たちの心を惹きつけていたように思う。たまに出会うITベンチャーの世間ズレしていない生意気なガキどもと違って、腰が据わった社長で、礼儀礼節もわきまえている方だという印象が残る。記者会見での「志半ばで・・・」という中島社長の言葉は、心中察するに余る。
2階のショールーム
電気自動車を作ると中島社長が言い出したのは、世間がまだ鼻で笑っていた時代のはずだ。
おそらく「アホか、お前は」と大半の人が相手にしなかっただろう。それが今や、世界中の自動車メーカーが開発に躍起になり、先程、日産が社運をかけて電気自動車を売り出した。そんな中、岐阜の田舎の中小企業に、郵便事業会社から千台を超える注文である。
急成長する企業が通過するターニングポイントだ。これを見事クリアできれば、名実ともに自動車メーカーの仲間入りができる。もう誰も「オニィチャンさあ、気持ちはわかるけど、無理だよ。」と鼻で笑わない。まさに、ビッグチャンス。
ゼロスポーツブランドのオイル
スバリストのあいだでは人気が高いオイル!
スバリストのあいだでは人気が高いオイル!
本当のところ、何が起こったのかは、部外者である私にはわからない。
ただ、車を開発し売り出すのには、安全性を担保するため国土交通省の認可が必要なこと、また、自動車メーカーは皆、相当な力を持つ巨大企業であること、当然そこには利権が生ずること、そして、実に様々な欲が絡まり、力関係が働くこと・・・つまりは、中小企業が自動車を作って成功することを、喜ばない人間たちが大勢いることは事実である。
関連記事:ゼロスポーツが郵便EVを納入できなかった理由
同じ日の新聞に、トヨタ自動車とアメリカの電気自動車ベンチャー企業テスラとの資本提携のニュースが掲載されていた。テスラはこれまで100億円をゆうに超える資金調達に成功し、パトロンの力によって政府の援助まで引き出している。
中国では、中古のバッテリーを積み込んだだけの「なんちゃって電気自動車」を作っていた町工場が、ベンチャー企業として持てはやされ、ホントのメーカーになってしまった。
そして日本では、我々の業界でも、日産のお膝下、神奈川県が電気自動車タクシーに実に1/2の補助を出す助成金制度が始まった。世の中の流れは確実に電気自動車であり、まさにちょっとした電気自動車バブルである。
実際の電気改造自動車
ここで、先駆者であるはずのゼロスポーツは潰れた。経営の甘さなのか、契約の仕方が悪かったのか、原因は色々とあるだろうが、私は見えない力を勘ぐらざるを得ない。キラキラ輝くクルマ好きの兄ちゃんの純粋な野望なんて、大人たちにとっては、鼻くそにも及ばない。「鬱陶しいな、この辺で潰しとくか」程度だったのだろう。
経営の一寸先は闇。荒波の海に、端板一枚かけて渡っているようなものだ。眠れない夜を過ごし、孤独に苛まれ、逃げ出したい気持ちを抑え、歯を食いしばっているのが経営者の常だろう。
しかし、そんな姿、他人には微塵も見せてはいけない。船頭が泣きじゃくったら船は進まないのである。「なぁに、大丈夫さ、任せておけ!オラ、行くぞ!」・・・どんな状況でも明るく堂々と言い放つ「役目」なのである。残念ながら、船が沈むことだってある。沈んだら、また新しい船を見つければいい。「何してんだ。ホラ漕げ!行くぞ!」。
去年15周年として記念にもらったプレート
虚しさだけが残る・・・
新しい船の先端で旗を振る中島社長に会ってみたい!
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